アイドルもの 第五話
2026年5月17日
前回までのあらすじ
私は花も恥じらう女子高生、岡沢アイ!
でも……ドジでいつも失敗ばかり……☆
そんな私が、Pと名乗る男にアイドルに勧誘されたの!☆
でも……無銭飲食してたら警察に捕まっちゃった!?
なんとか脱出したけど、絶体絶命!そんな私の前に、またPがやってきた!?
たくさんの警官から、カーチェイスの末に逃げ切ったの!☆
北国の村に転がり込んだ私たちをかくまってくれたのは、茂助っていうおじさん☆
でも、ある日突然Pさんに毒を盛ってきて、何とか逃げ出したの☆
解毒剤を探していたら大男の人が助けてくれたの☆
お願い、間に合って~!
白い空間のなかで、男女が相対する。男が絞り出すように声を出した。
P「Q……」
女はじっと俯いて、感情のない声で言った。
Q「時間がないから簡潔に言うわ……」
Q「私のことは、忘れて」
女は男に歩み寄り、銃を向けた。
P「Q……どういうことだ」
女は答えず、銃を撃った。静かな空間を切り裂いて弾丸が発射され──
そして、男のロケットの鎖を切り裂いた。
(しまった──)
Qの右手がロケットの鎖を奪い取るのを、とっさの反射で腕を掴み返す。さらに反対の掌で指を抑え込み、動きを封じる。
Q「放してよ!」
P「ぐっ!」
Qの脛蹴りが突き刺さり、顔をしかめる。痛みに耐えながら抑え込んだ腕を思い切り引き、バランスを崩したQを押し倒す。
P「忘れるなんてできるかよ!」
もつれあいながら床を転がりまわる。白い空間がどろり、と溶けた。床が激しくうねる。
P「うおっ!?」
体勢を崩したところに、溶けた空間がまとわりついて体を飲み込もうとする。
Q「ダメ!」
Qの左手が鎖に伸びたが、
プチン。
鎖が千切れ飛び、そしてすべてが白に飲み込まれた。
P「Q!!!」ガバッ
アイ「あ、起きた~☆」
目の焦点が合ってくる。アイと……この大男は……
大男「やっぱり、Pくんかぁ~」
P「コードネーム・F《フェンリル》……」
P「一体、何をしに来た……!」
大男(F)「ママに言われたんだ」
F「Pは悪いやつだから殺せって!」ブン!(手を振り上げる)
P「!!!」バッ
ドウ!!!
とっさの反応で回避した腕が地面に突き刺さり、土煙を上げる。
コードネーム・F《フェンリル》
- 身長 222cm の大男!☆
- 好きなものはママみたい!ママ思いのいい人なんだね!
- なぜかPさんのことが嫌いみたい☆どうしてだろう……?
- どうして……人は殺しあわないといけないんだろう……?
アイ「え!?ど、どういうこと~!?」オロオロ☆
アイ「だ、だって、FさんはPさんのことを助けてくれて……」オロオロ☆
F「困っている人がいたら助けなきゃいけないって、ママに言われてるんだ」
アイ「そ、それって……?」
アイ「ん?私が、困ってたから……?」
F「Pは悪いやつだから殺さないといけないけど、困ったから助けたってこと!」
アイ「え?殺すのに助けたって……☆」
アイ「???」
F「えーっと……つまり……」
P「無駄だ……」
P「こいつは複雑なことは理解できねえ……」
アイ「で、でも!☆」
アイ「Pさんが悪い人なんて誤解だよ!☆」
F「でもママはそういってたもん!」
P「無駄だ……」
P「こいつは『ママ』の言うことしか聞かねえ……」
プルルルル!(おこさまケータイ)
F「あ!ママからの電話だ!」ガチャ
P「! 今のうちに逃げるぞ!」ダッシュ!
アイ「わかった!☆」ダッシュ!
アイ「はあ……はあ……」
P「よし……ここまで逃げれば大丈夫だろう……」
P「待ってろ……このウーバーイーツの自転車を盗むか……」カチャカチャ
アイ「あーっ!?☆」
P「どうした!?」
アイ「そういえば……私……」
アイ「明日、村の祭りで歌わなきゃいけないの!☆」クルン
P「ええーーーっっ!!!???」
カクカク シカジカ
P「トホホ……それじゃあ明日までこの村を離れられないってことかぁ~」
アイ「でもでも☆初めてアイドルっぽいことできるんだ!」
P「あ、ああ……そうだな……」汗ダラダラ
P(くっ……しまった……)
P(なんかノリでプロデューサーを名乗っていたが……)
P(俺はコードネームがPなだけで、実はプロデューサーではないんだよな……)
アイ「Pさんどうしたの?☆」
P「ああ、いや……」
P「なんでもないさ……」
アイ「あ、そうだ!」
アイ「私、歌とダンスの練習してみるから、Pさん見てて!」
P「そ、そうか、練習しなきゃいけないからな……」
♪~(唐突に始まる歌とダンス)
P「……」
アイ「……ふぅ☆どうだった!?」
P「あ、ああ……たぶんいいんじゃないかな……」
P「歌もダンスも……かなりよさそうだし、明日も大丈夫そうだな」
アイ「やったー☆Pさんに褒められちゃった☆」
アイ「えへへ☆」
F「あっ!電話してたらPに逃げられちゃった!」
F「ん……?これは……?」
鎖の千切れたロケットを開くと、Qの写真があった。
♪~(エンディングテーマ)
── 茂助宅にて ──
血だらけの茂助「う、うう……」ムクリ
茂助「あの野郎……絶対に許さねえ……」
茂助「殺す……殺す……殺す……」