四肢切断された俺「やれやれ……」
2026年6月8日
第一話
暴力ヒロイン「俺くん、はい、あーん」
四肢切断された俺「もぐもぐ……うん、美味しいな」
暴力ヒロイン「えへへ、よかった!俺くんのために練習したんだ……!」
俺(やれやれ、ま、こんな暮らしも悪くないかな?)
第二話
暴力ヒロイン「すー……すー……」ギュー
俺「やれやれ……抱き枕扱いか?」
暴力ヒロイン「……俺くん……?」
俺「ん?」
暴力ヒロイン「行っちゃやだ……一人にしないでぇ……」グスグス
俺(寝ぼけてるのか……)
俺「まったく……こんな体でどこかに行けるわけないじゃないか……」ナデナデ(心の手でなでている)
暴力ヒロイン「んぅ……」
第三話
暴力ヒロイン「お散歩だよっ!」
俺「おいおい、あまり揺らすなよ」ブラブラ(ペットをぶら下げる用のバッグに入れられている)
暴力ヒロイン「ご、ごめん!」
通りすがりのお前ら「ギョッ」
暴力ヒロイン「あ、見て!アジサイが咲いてる!」
俺「おお〜……綺麗だな……」
暴力ヒロイン「ね〜……」
俺(あ、ここはお前のほうが綺麗だよって言っておくのがよさそうだな)
俺「お前のほうが綺麗だよ」
暴力ヒロイン「ちょ、ちょっと、やめてよ!」カァァ///
俺「ははは、すまんすまん」
お前ら「うーん、ギリ純愛か……?」
第四話
俺「………」
俺「夢か………」
暴力ヒロイン「俺くん!朝ご飯できたよ〜!」トテトテ
俺「夢を見たんだ……」
暴力ヒロイン「夢?」
俺「そうだ……学校の夢を……」
暴力ヒロイン「……」ピクッ
俺「学校の……昔の夢だった」
暴力ヒロイン「なんで?」
俺「……え?」
暴力ヒロイン「戻りたいの?学校に」
俺「あ、いや……」
俺「俺はただ、懐かしいなあって……」
暴力ヒロイン「私と一緒にいるのが嫌なの?」
俺「いや、そうじゃない!」
暴力ヒロイン「…………」
暴力ヒロイン「えへへ、そうだよね〜」ニコニコ
暴力ヒロイン「だって俺くん、そんな体じゃ戻れないもんね……」
俺「……」
暴力ヒロイン「あはは、俺くん急に冗談言い出すんだもん、びっくりしちゃった」
暴力ヒロイン「ね、朝ご飯できてるから食べよっ!」
俺「やれやれ……」
第五話
TV「日本軍は力強く進撃し、敵どもを撃滅しつつあります!」
暴力ヒロイン「俺くん……」
暴力ヒロイン「どこにも行っちゃダメだよ……?」
俺「うむ」
憲兵「突然オラァ!」ガチャ
暴力ヒロイン「な、なんですか……?」ビクビク
憲兵2「む、お前ちゃんとお国のために働いているのか?」
暴力ヒロイン「や、やめてください!」
暴力ヒロイン「俺くんのお世話をしなきゃ……いけないんです!」
憲兵「俺くんだと?」ヒョイ(部屋を覗き込む)
憲兵「うっ!」
憲兵2「あっ……これは……」
憲兵「いや、すまない……」
憲兵「……供出は不要だ」
憲兵2「そのほうがいいな……」
暴力ヒロイン「あ……!」
暴力ヒロイン「あの……ありがとうございます……」
第六話
暴力ヒロイン「えへへ、俺くんとお散歩楽しいなっ!」
俺「俺も楽しいよ」
暴力ヒロイン「あっ!あれ!」
露店お前ら「キーホルダー売ります」
俺「まったく……お前ああいうの好きだなぁ」
暴力ヒロイン「もーっ!いいでしょ別に!ね、ね!」
露店「いらっしゃ……い゛っ!?」(ペット用バッグに入れられた俺と目が合う)
暴力ヒロイン「いろいろあるね!」
俺「………綺麗だな」
暴力ヒロイン「あっ、これ!」
暴力ヒロイン「オリジナルのキーホルダー作れるんだって!」
俺「ふーん」
暴力ヒロイン「もうちょっと興味を示してよ!」
暴力ヒロイン「あの……店主さん!」ボソボソ
露店「わかりました」
俺「じゃ、俺も貰おうかな」
俺「ヒロインって刻んでください」
露店「わかりました」
暴力ヒロイン「お、俺くんっ!!!もうっ!」カァァ///
暴力ヒロイン(だって……そんなの私とおそろいじゃん……!)
第七話
暴力ヒロイン「俺くん!見て見て!」
暴力ヒロイン「ジャーン!」
俺「おお」
俺「あのキーホルダーをネックレスにしたのか」
暴力ヒロイン「うん!私とおそろいだよっ!」
暴力ヒロイン「これなら俺くんでもつけられるかなって!」
暴力ヒロイン「つけてあげる!」
俺「ははは……ちょっと照れくさいな……」
俺「そういえば、お前はキーホルダーになんて刻んだんだ?」
暴力ヒロイン「〜〜〜!!!」
暴力ヒロイン「そ、それは秘密!!!」
ドゴオオォォ……
暴力ヒロイン「きゃっ!」ポス(俺の上にのしかかる)
俺「うおっ!」ムニィ
俺(!?)
俺(お、おっぱいが……)ドキドキ
俺(ん?このキーホルダー……)
暴力ヒロイン「うう……爆撃……激しくなってきたね……」
暴力ヒロイン「あっ!ご、ごめん俺くん!」
俺「俺の名前か……」
暴力ヒロイン「あっ!」
暴力ヒロイン「ひ、秘密って言ったでしょ〜!!!」
俺「やれやれ……」
俺「ヒロイン……俺も」
ドガアアァァァ!!!!
パラパラ……(天井からホコリが落ちてくる)
暴力ヒロイン「わっ!」
俺「かなり近かったな……」
第八話
憲兵3「楽しい供出の時間だァ!」ガチャ
憲兵4「なんだこの金属の鍋は!」ヒョイ
憲兵4「今は日本が一丸となって戦わねばならん時期だぞ!」
暴力ヒロイン「や、やめてください……!」
憲兵4「やめろだと!?お前も勤労奉仕だ、来い!」グイッ
憲兵3「奥の部屋にも何かあるんじゃないかァ?」ガチャ
憲兵3「うっ!……なんだこれは!」
俺「よう」
憲兵4「……!!」
憲兵4「……知ったことか!戦場はもっと悲惨である!」
憲兵3「そ、そうだ!こんなヤツが我が国の足を引っ張っていることは断じて許せん!」
暴力ヒロイン「うう……」
俺「やめろ!ヒロインから手を放せ!」モゾモゾ
憲兵4「お国のためえええーぃ!!!!!!!」
俺「」ビクッ
暴力ヒロイン「」ビクッ
憲兵3「」ビクッ
憲兵4「足手まといのお前のせいで、お国のために尽くせない彼女がかわいそうではないのかあーっ!!!!」
俺「あ、あ……」
俺(俺は……)
憲兵4「連れて行くぞ!」
憲兵3「お、おう……」
暴力ヒロイン「……俺くん……」
暴力ヒロイン「俺くんは、足手まといなんかじゃないよ……!」
ギィ……ガチャン(扉が閉まる音)
俺「……」
俺(あ……玄関の鍵、かかってないな……)
俺(物騒だぜ……)
俺(こんなこと……考えてる場合じゃないってのにな……)
俺(俺は……)
俺(……)
俺(もしかして足も手もないからか?)
第九話
暴力ヒロイン「……」
女生徒「なー、お前全然学校来てなかったよな」
女生徒「サボりか?」
暴力ヒロイン「そんなこと……」
女生徒「勤労奉仕が嫌でサボってたんでしょ?」
暴力ヒロイン「そんなんじゃない!」
女生徒「は?なにお前、ムカつく」
女生徒「なに変なアクセサリーとかつけてんだよ!」グイッ
暴力ヒロイン「やめてっ!」ドンッ!
女生徒「!!!」ヨロッ
女生徒「……てっめ……!」
女生徒「ああああ!!!!」
ドカ バキ ドスン ボコボコ
先生「何騒いでるの!まあまあまあ!!!」
女生徒「……っ!」ボロ…
暴力ヒロイン「フーッ、フーッ」
女生徒「先生!あいつが急に押してきて……!」
暴力ヒロイン「違っ……」
女生徒「違わないでしょう!?」
先生「まあまあまあまあ!!!」割り込み
先生「二人とも落ち着きなさい!」
先生「ヒロイン、罰として女生徒のぶんの勤労奉仕もやりなさい!」
暴力ヒロイン「そんな……あの!」
先生「頭を冷やしなさい!」
女生徒「……」
女生徒(死ねばいいのに、アイツ)
第十話
俺「…………」
俺(暇を持て余す)
ウ〜〜ウ〜〜(空襲警報)
俺「あー……空襲きた空襲……」
俺(つーか腹減ったなあ……)
ドォ……ドォ……
俺(なんか……花火みたいだな)
俺(おじいちゃんの家の……ベランダから見た花火みたいだ……)
ドオォォ!!!
俺「!!!!」
俺「え、なんだなんだ!?」
俺「うわっ……!」
俺(隣の家燃えてる……や、やべえよ……!)
* * *
ゴオオオ(炎に巻かれる)
俺(つっても何もすることはできねえし……)バクバク ゴゥゴゥ
俺(そう、どうしようもないんだよな……)バクバク ゴゥゴゥ
俺(これは……心臓の音……?)バクバク ゴゥゴゥ
俺「ゲホッ、ゴホッ」
俺「あ……」
俺(これは……ヒロインの……)
俺(………)ゴロン
俺(………)ギュッ(うつ伏せになってキーホルダーを守るように丸まる)
ウ〜〜ウ〜〜
先生「早く!早く避難しなさい!」
暴力ヒロイン「だめ!俺くんが!!!」ダッ
先生「ちょっと、ヒロイン!!??」
先生「やめなさい!!!やめてー!!!!」
女生徒「なんなの、あいつ……」
* * *
暴力ヒロイン「はあっ、はあっ……」
暴力ヒロイン「え……?」
暴力ヒロイン「うそ……」
(燃え盛る家)
暴力ヒロイン「俺くん!」ダッ
キーン!!!!!!!
暴力ヒロイン「!!!!!!」
暴力ヒロイン「……っ……う……」
暴力ヒロイン「頭……痛い……」(手を耳にやる)
暴力ヒロイン(ぬるりとした液体が手に触れた)
暴力ヒロイン「助け……なきゃ……俺くん……」ズルズル ビチャ
暴力ヒロイン「あ……」
暴力ヒロイン「足……どっか、行っちゃった……」
暴力ヒロイン「あはは……」
俺「……!……!」
俺「……ヒロイン!ヒロイン!」
暴力ヒロイン「……え?俺くん?」
暴力ヒロイン「その……姿……」
俺「ああ……実は俺は伝説のヒーラーなんだ」
俺「自分の四肢を再生するなんて余裕さ」
暴力ヒロイン「ぷっ、あはは……」
暴力ヒロイン「俺くんったら……」
俺「な、なんだよ……助けに来てやったのに」
暴力ヒロイン「えへへ……」ギュッ
暴力ヒロイン「ねぇ……」ギュッ
暴力ヒロイン「ずっと一緒だよ……」ギュウウ
俺「ああ……」ギュッ
俺「ずっと一緒だ……」ギュウウ
* * *
「さっき運び込まれてきた子、この学校の生徒かな?」
「こりゃダメだ、助からんぞ」
「大事に……何か握りしめてるみたいだ」
女生徒(何かしら……?)
女生徒「うっ………!」ゾッッッ
女生徒(なんで……なんで……あんなに笑顔なのよ……!!!)
終